言志四録とは、佐藤一斎が四十年にわたって書き残した、有名な自己啓発・哲学書。
小泉首相が教育関連法案の討議中に述べてから、いっそう有名になりました。
言志四録は、以下の四書から構成されています。
- 言志録(げんしろく)
- 言志後録(げんしこうろく)
- 言志晩録(げんしばんろく)
- 言志耊録(げんしてつろく)
以上の四書を総称した名称が「言志四録」です。
今回は目標の大切さと、達成へ心構えを学ぼう。
斎藤一斉についてはコチラに記載しています↓
このページでは [現代語抄訳]言志四録 佐藤 一斎 PHP研究所 2005-05-26 を参考にし、このページの引用文も、この本から引用しています。
あなたは目標(志)を掲げているだろうか?
第二五八条
昨日(さくじつ)を送りて今日(こんにち)を迎え、今日を送りて明日(みょうにち)を迎(むか)う。人生百年此(か)くの如きに過ぎず。故(ゆえ)に宜しく一日(じつ)を慎むべし。一日慎(つつし)まずんば、醜(しゅう)を身後(しんご)に遺(のこ)さん。恨む可(べ)し。羅山先生(らざんせんせい)謂(い)う、「募年(ぼねん)よろしく一日の事を謀るべし」と。余謂う、「此(こ)の言浅(げんあさ)きに似て浅きに非(あら)ず」と。
昨日を送って今日を迎え、今日を送って明日を迎える。人の一生は、たとえ百年過ごしたとしても、この毎日の繰り返しである。だから、その日一日を大事に過ごさなければ、後悔することになる。林羅山先生が「人は晩年になったら、今日一日のことを考えて暮らすがよい」といわれた。「この言葉は一見浅薄に聞こえるが、じつは意味深いことだ」と、今になって自分は思う。
[現代語抄訳]言志四録 185ページから引用
あなたは、1日を大事に過ごしているだろうか?
人生に無駄な日などない。というより、無駄な日を過ごさないように努めるべきだろう。
言志四録の「第二条」からもわかるように、
たとえ毎日が同じような日々であったとしても、学べることは沢山ある。
(第二条はコチラから → 言志四録の名言から「学び・志・行動」の大切さを学ぶ )
大事に過ごすとは、自分の目標に向かって勉強したり、行動したりすることだろう。
充実した一日を過ごすためには、人生の目標(志)が必要不可欠である。
あなたは目標を掲げているだろうか?
目標を掲げていないとすれば、一日を無駄に過ごしてしまうことに等しい。
目標が無いのであれば、あなたの人生に待ち受けているのは「後悔」しかないだろう。
常に目標を意識し、行動しているだろうか?
第一八条
閑想客感(かんそうかくかん)は、志(こころざし)の立たざるに由(よ)る。一志(し)既に立ちなば、百邪退聴(ひゃくじゃたいちょう)せん。之を清泉涌出(せいせんゆうしゅつ)すれば、旁水(ぼうすい)の渾入(こんにゅう)するを得ざるに譬(たと)う。
つまらないことを考えたり、他のことに心を動かされたりするのは、志がしっかり立っていないからだ、志が確立していれば、邪悪な考えなどすべて退散してしまう。これは清らかな水が湧き出ると、外からの水は混入できなのと同じである。
[現代語抄訳]言志四録 93ページから引用
目標に関係のない行動をしていないだろうか?
目標達成のための行動を先延ばしにしてないだろうか?
目標を掲げていたとしても、今の世の中「誘惑」は沢山ある。
ダラダラとテレビを見てしまう、ずっとゲームをしてしまう…。
そういった行動を起こしてしまっている原因は、
掲げた目標に情熱を持てていないのかもしれないし、信念が足りないのかもしれない。
心の底から達成したいと情熱を持てる目標(志)であれば、邪悪な考えは無くなる。
今あなたが目標以外に目移りしているなら、その目標はまだ確立されていない。
目標(志)には情熱と信念が必要であり、確立させるためには忍耐力も必要だ。
目標達成には今現在を見つめ直すことが大切だ
第四三条
昨(さく)の非を悔(く)ゆる者は之れ有り、今の過(あやまち)を改むる者は鮮(すく)なし。
過去の過ちを後悔する人はいるが、現在していることの過ちを改める者は少ない。
[現代語抄訳]言志四録 33ページから引用
今現在の行動を見つめ直すことは重要である。
上のテレビやゲームといった目標とは関係ない行動をとっている事も、たまにはあるだろう。
そしてテレビを散々見終わった後に「あぁ、またやってしまった…」と思うのである。
だが今を見つめ直すことができれば、
ついついテレビをつけてしまったとしても、軌道修正できるわけだ。
まさに「後悔先に立たず」。だからこそ「今」を見つめ直し過ちを改める必要がある。
目標を達成するには挑戦が必要不可欠である
第七条
立志(りっし)の功(こう)は、恥を知るを以て要と為(な)す。
志を立てて成功するには、恥をかくことが肝心である。
[現代語抄訳]言志四録 15ページから引用
第四三条を否定しているように感じる方もいるかもしれないが、そうではない。
四三条では今の過ちを改めるとあるが、それは挑戦からくる過ちではなく、
怠惰からくる過ちのようなイメージと思っていい。
もしくは明らかにおかしいと思える挑戦=過ちを改めるべきだ
といった解釈だと思う。(たとえば明らかに詐欺だろうといった話に乗るなど)
(佐藤一斉が伝えたかった真実ではないかもしれないが、私はそう解釈してる)
ここで言う「恥」とは挑戦への代償である。
失敗=恥とは一概には言えないが、失敗をすることは成功への近道だ。
エジソンの名言などで、皆さんも「当たり前だ」と思うかもしれないが、
佐藤一斉という人間も、早くからこの法則を知っていたのだ。
失敗を重ね、成功へ近づく。
当たり前だと思っている事を、あなたはできているだろうか?
もしあなたが目標を掲げ、達成したいと思っているなら「今」行動を起こすことだ。
人生は「今」ここにしかない。
今しか変えられないし、今を変えることでしか、未来は変わっていかない。
(私の部屋の壁に貼っている一文である)
目標を達成するには忍耐力が必要である
第一一三条
人は須(すべか)らく忙裏(ぼうり)に間(かん)を占め、苦中(くちゅう)に楽を存(そん)する工夫を著(つ)くべし。
多忙だからといって自分忘れてはならない。「忙中閑有り」のゆとりがなければならない。また七難八苦があろうとも、むしろその苦しみを楽しみに変えるぐらいでなければならない。
[現代語抄訳]言志四録 218,219ページから引用
一回失敗したからといって、そこで諦めてしまっては、到底目標達成なんてできないだろう。
そういった、何度も挑戦するには、タフな精神力(忍耐力)も必要となってくる。
目標を達成するためのプロセスすべてが、楽しいものではないかもしれない。
多少我慢しながら、苦労しながら目標に向かう事もあるはずだ。
そういった苦労を楽しみに変えるくらいの精神力を持つべきだということである。
また、忙しいからという理由で、初心を忘れることもあるかもしれないし、
会社の仕事に追われて、目標を見失うこともあるかもしれない。
ある程度の心のゆとりは必要である。
ゆとりをもって、改めて目標を再確認する時間も必要だ。
そういったゆとりを持つことで、苦しみを楽しみに変える機転を利かせることもできるのだ。
あなたに限界はない
第六八条
窮(きわ)む可(べ)からざるの理(り)無く、応ずる可(べ)からざるの変(へん)無し。
いかなるものでも窮め尽くせないという道理はない。また、物事がいかに変化しようと、それに対応できないということはない。
[現代語抄訳]言志四録 209ページから引用
「私にこの目標が達成できるだろうか?」といった心配もあるかもしれない。
だが、そういったネガティブな感情が、目標達成を阻害している。
あなたに限界はない。むしろ限界は自分自身が作り出している幻想である。
日々精進して目標達成を目指そう
第一三九条
怠惰(たいだ)の冬日(とうじつ)は、何ぞ其の長きや。勉強の夏日(かじつ)は、何ぞ其の短きや。長短は我に在りて、日に在らず。待つ有るの一年は、何ぞ其の久しきや。待たざるの一年は、何ぞ其の速かなるや。久速(きゅうそく)は心に在りて、年に在らず。
怠けていると、短い冬の一日でも、なんとまぁ長いことか。一生懸命働いていると、長い夏の一日でも、なんとまぁ短いことか。要するに、一日の長短は自分の主観にあるのであって、日そのものにあるのではない。同じように、何かを待っている一年は、とてもゆっくり感じるし、何も期待していない一年は、あっという間に過ぎていく。この場合の早い遅いも心の持ちようであって、年月にあるのではない。
[現代語抄訳]言志四録 226,227ページから引用
学生時代、大好きな恋人といる時間は短く感じなかっただろうか?
充実した一日は短く感じることが多いだろう。
逆に、校長先生や生徒指導の話はすごく長く感じたのではないだろうか?
充実した一年を送ることも、何もなかった一年を送るのも、
あなたの心次第(目標・行動)なのである。
最後に
その他、言志四録には、数多くの学びのための一文が記載されています。
過去の偉人達も、言志四録から多くのことを学んだことでしょう。
志を立て、目標を持ち、学び、行動することで、
今の人生、これからの人生をもっと豊かにしましょう。
言志四録を読み込めば、更なる学びがきっとあるはずです。
コチラも言志四録の名言を記載しています↓
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