言志四録の名言から「学び・志・行動」の大切さを学ぶ

日記・本
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言志四録とは、佐藤一斎が四十年にわたって書き残した、有名な自己啓発・哲学書。
小泉首相が教育関連法案の討議中に述べてから、いっそう有名になりました。

言志四録は、以下の四書から構成されています。

  1. 言志録(げんしろく)
  2. 言志後録(げんしこうろく)
  3. 言志晩録(げんしばんろく)
  4. 言志耊録(げんしてつろく)

以上の四書を総称した名称が「言志四録」です。

他の言志四録についての記事はコチラ↓

言志四録の名言「目標(志)」の大切さ「目標達成」の心構えを学ぶ
言志四録とは、佐藤一斎が四十年にわたって書き残した、有名な自己啓発・哲学書。小泉首相が教育関連法案の討議中に述べてから、いっそう有名に…言志四録は、以下の四書から構成され…。言志録・言志後録・言志晩録・言志耊録・四書を総称した名称が「言志四録」です。今回は目標の大切さと、達成へ心構えを学ぼう…
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佐藤一斎とは?

佐藤一斎(1772~1859年)とは、
美濃(岐阜県)岩村藩家老・佐藤信由の子として江戸藩邸で生まれ、
幼少の頃から聖賢の経書に親しんだ。

二十二歳の時、大学頭・林簡順の門を叩き、儒学で身を立てることを決意。
そして三十四歳の時、この林家の塾長に抜擢された。

佐藤一斎が七十歳のとき、大学頭だった林述斎が七十四歳で亡くなったため、
今でいう東京大学総長の立場である、昌平黌(しょうへいこう)の儒官になり、
日米和心条約の外交文書の作成にも関わっている。

 

門下生は6000人とも言われており、朱子学、陽明学と見識が広く、
その両方から英雄が現れている。

陽明学からは、幕末の先覚者といわれる「佐久間象山」「横井小楠」らが現れ、
佐久間象山の門下から「勝海舟」「吉田松陰」らが輩出。

その、吉田松陰の「松下村塾」からは「高杉晋作」「木戸孝允」「伊藤博文」ら、
維新に関わった志士たちが登場する。

「西郷隆盛」は言志四録を愛誦し、
その中から101条を選んで「南州手抄言志録」として残している。

 

志高き侍の原動力となった一冊であり、
近代日本を切り開くためのきっかけになった思想・学問とも言える。

今の時代にも通ずる学問であり、
志の大切さ・学問の大切さ・指導者に必要なことなど、自己の啓発に役立つ一冊です。

このページでは [現代語抄訳]言志四録 佐藤 一斎 PHP研究所 2005-05-26 を参考にし、このページの引用文も、この本から引用しています。

常に学び続けることが、人生を豊かにする。

「第60条」

少(しょう)にして学べば、則ち壮(そう)にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ち老いて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。

少年のときに学んでおけば、壮年になってから役に立ち、何事かを為ことができる。壮年のときに学んでおけば、老年になっても気力が衰えることはない。老年になっても学んでおけば、ますます見識も高くなり、社会に役立つこととなり、死んでからもその名は残る。

[現代語抄訳]言志四録 143,144ページから引用

この晩録「第60条」は、言志四録の中で最も有名な言葉。

人は常に学ぶことで、人生を豊かにしています。

学びをやめるということは、停滞・衰退を意味し、今日学んだことがなければ、
昨日の自分から成長しておらず、只々一日を消費しているだけです。

どんなことからも学ぶことは可能

常に学び続けるためには「志」が必要です。
学びとは勉強のことだけでなく、日々の生活の中からでも学べることは沢山あります。

自分がどんな志を持っているかにより、学びに対する姿勢、学びの質が変わってきます。

「第32条」

緊しく(きびしく)此(こ)の志を立てて以て之を求めば、薪を運び水を運ぶと雖(いえど)も、亦是(またこ)れ学の在る所なり。況(いわん)や書を読み理を窮(きわ)むるをや。志の立たざれば、終日読書に従事するとも、亦唯(またた)だ是れ閑事(かんじ)のみ。故に学を為すは志を立つるより尚(かみ)なるは莫(な)し。

立派な人になろうとの強い志を立てて、それを達成しようとするなら、薪を運び、水を運んでも学びに通じる、ましてや、書物を読み、事の道理を知ろうと、それに集中するなら、目的を達成しないほうがおかしい。だが、志が立っていなければ、終日読書しても無駄に終わることになる。だから、立派な人になるには、なによりも志を確立することが大切である。

 

「第2条」

太上は天を師とし、其の次は人を師とし、其の次は経を師とす。

最も優れた人は天を師とし、次に優れた人は聖人を師とし、
その次に優れた人は書物を師とす。

[現代語抄訳]言志四録 12,28,29ページから引用

日々の生活には、様々な学びのチャンスがあります。

毎日の仕事の中にも、苦手な仕事や、嫌な仕事があるかもしれません。
ですが、志を立てそれを達成しようとするのであれば、
嫌なことからでも、苦手なことからでも学べます。

言志四録にも書かれているように、薪を運ぶこと、水を運ぶことからも学べます。

最も優れている人は、すべての現象から学びます。

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人の長所を見て学ぶ

人の短所・長所から学ぶことも可能ですが、言志四録には次のような文もあります。

「第70条」

我れは当に人の長処(ちょうしょ)を視るべし。人の短処を視ること勿れ。短処を視れば、則ち我れ彼れに勝り、我れに於(おい)て益無し。長処を視れば、則ち彼れ我れに勝り、我れにて於て益有り。

人を見るときは、その人の優れたところを見るべきで、短所を見てはいけない。短所を見れば、自分が優れているので、おごりの心が生じ、自分のためにならない。だが、長所を見れば、相手が自分より優れていることがわかり、これに啓発され、励まされるから、自分の利益となる。

[現代語抄訳]言志四録 146,147ページから引用

学びの観点からみると、長所からも、短所からも学べますが、
短所ばかりを見ていると、自分の方が優れていると勘違いしてしまい、
おごりの心が生じる可能性がありますが、

相手の優れているところを謙虚に見つめ、自分の啓発のために活かすことができれば、
短所ばかりに注目するより、更に自分のためになります。

 

人を見るとき、短所ばかりに目が行く人がいます。
上司の嫌なところ、部下のダメなところばかりに注目してしまい、
「あんな上司と働きたくない」「あの新人はダメだ」などと、イライラしてしまう。

そんな人は、学びのチャンスを逃していることになる。
相手の長所を見つめ、自分の成長のために学ぶことができれば、
日々の生活でイライラすることも少なくなり、人生も豊かになるはずです。

どんな時でも学ぶことやめないこと

「第184条」

人の一生には、順境有り。逆境有り。消長(しょうちょう)の数、怪む可き者無し。余又自ら検するに、順中の逆有り、逆中の順有り。宜しく其の逆に処して、敢(あえ)て易心(いしん)を生ぜず、其の順に居りて、敢えて惰心(だしん)を作さざるべし。惟(た)だ一の敬の字、以て逆順を貫けば可なり。

人生には、順境もあれば逆境もある。これは栄枯盛衰の自然の法則で、少しも不思議ではない。だが、順境・逆境といっても、順境の中にも逆境があり、逆境の中にも順境がある。だから、逆境にあっても不満や自暴自棄の気持ちを起こさず、順境にあっても慢心や怠け心を起こしてはいけない。ただ、敬の一時をもって終始一貫すればよい。

[現代語抄訳]言志四録 168,169ページから引用

人生は、順調に進むばかりでありません。
むしろ、上手くいかないことの方が多く、苦難な道を進むことの方が多いかもしれません。

上手くいかない時でも、志、学びの心を忘れず、
常に学び続けることで、やがて道は開けます。

逆に、上手くいっているからといって、
学ぶことを忘れてしまえば、その先に未来はありません。

逆境にこそ学べることが多くあります。
諦めることなく、怠ることなく学び続けることが重要です。

知識と行動を一致させることにより、初めて学びが活きる

「第11条」

無能の知は、是れ瞑想にして、無知の能は是れ妄道(もうどう)なり。学者宜く仮景(かけい)を認めて、以て真景(しんけい)と做(な)すこと勿るべし。

実行することがなく、ただ知っているだけなら空想である。知恵なくして行うのは妄動である。学問をするものは心眼を開き、偽物の姿を見て、これを本当のものと思ってはいけない。

[現代語抄訳]言志四録 192ページから引用

この本には「知行合一」という言葉が頻繁に使われています。

学ぶだけでは単なる知識ですが、その知識を使って行動することによって、
初めて活きた学びとなり、人生を豊かにします。

学んだあとは、その学びを人生に活かすために行動しなければ、
この先の人生を変えることはできません。

最後に

その他、言志四録には、数多くの学びのための一文が記載されています。
過去の偉人達も、言志四録から多くのことを学んだことでしょう。

志を立て、目標を持ち、学び、行動することで、
今の人生、これからの人生をもっと豊かにしましょう。

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